ハーバード大学のマイケル・サンデル教授が行う講義を放送したNHK教育テレビの番組「ハーバード白熱教室」全12回の第1回~第6回まで(+東大特別授業前篇)を書籍化した入門的な哲学本の上巻を読んだ感想。
作品情報
- ジャンル:哲学、思想、社会、
- 著者名:マイケル・サンデル
- 翻訳:NHK「ハーバード白熱教室」制作チーム、小林正弥、杉田晶子
- 発売日:2010年10月
- 価格:税込756円(文庫版)
- ISBN-10:4150503788
- ISBN-13:978-4150503789
- 判型:文庫
- ページ数:299P
- 参考:Books.or.jp 【書籍の詳細】
作品内容
作品紹介
ハーバード大学の哲学者であるマイケル・サンデル教授が「正義」をテーマに行った講義(全12回)の前半(第1回~第6回)を書籍化した作品。
各回の小テーマ「殺人に正義はあるか」「命に値段をつけられるか」「富は誰のもの?」「この土地は誰のもの?」「お金で買えるもの 買えないもの」「なぜ人を使ってはならないのか」について、実例やたとえ話を用いながら学生たちと議論。
それらの議論によって示された考えに、古今の哲学者(アリストテレス、ソクラテス、ベンサム、カント、ミル、ロック)の思想を織り交ぜながら、矛盾や疑問を示唆して「正義」についての理解を深めていくという流れになっている。
内容紹介
中身は全6回(章)で構成。各回は「レクチャー」という2コマ(節)に分かれ、各節ごとに小林正弥教授による1~2ページの解説が付け加えられている。哲学の本は"入門書"でも難解なものが多いので、この解説は有難かったな~。
また、NHK教育テレビで放送された内容を書籍化したものということで、講義の雰囲気を補足するために文末に「(一同笑)、(拍手)、(ざわめき)」などが加えられていて臨場感があった。
引用元:早川書房「ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業[上]」 104,105ページ
議論のポイントとなる部分については、ページ下部に設けられた枠に要約した内容などが示されていて分かりやすくなっている。
サンデル教授の発言量が圧倒的に多いのだけど、対談本の様に文の頭には発言者の名前が付けられているので、学生とのやり取りを把握しやすくて読みやすかった。
引用元:早川書房「ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業[上]」 204,205ページ
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感想:★★★★☆
哲学書というと堅苦しいイメージをもっていたけれど、取っ付き易い実例やたとえ話を皮切りに講義が展開していくので、第5回くらいまでは初心者でもかなり読みやすい印象でした。
たとえば、「4人の遭難者のうち1人を犠牲にして3人が助かろうとする行為は道徳的に許されるのか」についての議論から話が繋がっていく第1回「殺人に正義はあるか」だったり、1秒換算で150ドル稼ぐビル・ゲイツを例に出して「金持ちから多く税金を取って貧しい人に分配することの是非」について議論が展開する第3回「富は誰のもの?」等。
白黒付け難くて考えの分かれそうな話が結構出てきますが、サンデル教授はそれらの議論の是非や持論については明確に言及せず、議論の内容を包括して考え方を示唆するに留まっているため、一方的な話の展開にはなっていなくて興味深く読むことができました。
ただ、第6回の「なぜ人をつかってはならないのか」の「イマヌエル・カント」に絡む話は難しくて読解に苦労しました。哲学用語もそこそこ出てくるので意味を覚えて話の内容を理解するのに難儀することもありそうです。
随分前にテレビでちょろっと見た記憶のある「ハーバード白熱教室」の書籍版を読んでみましたが、意味をじっくり噛み締めながら読めるので活字で読み解くのも面白かったです。上巻を読破するのに4日以上掛かってしまいましたが、既に下巻も買っているので読了目指したいと思います!
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