【推理小説感想】Vシリーズ最終作「赤緑黒白」 著:森博嗣

毛糸 赤緑黒白

森博嗣の推理小説シリーズ「Vシリーズ」のクライマックス10作目の感想&紹介。※記事内に表示を選択できるネタバレ部分を含みますのでご注意を。

作品情報

作品内容

あらすじ

死体が色鮮やかに塗装されている殺人事件が発生。被害者の恋人と名乗る女性から調査依頼を受ける探偵保呂草だったが、依頼主の女性が同様の手口で塗装された死体となって発見される。

第一、第二の事件共に被害者の遺体は名前に含まれる「色」で塗装されていたことから、事件はとある作家の作品を真似た連続猟奇殺人事件の様相を呈する。しかし、解決の糸口を掴めないまま、第三、第四の事件が発生してしまう!

作品紹介

森博嗣の推理小説シリーズ「Vシリーズ」の最終作にあたる10作目。自称科学者の子持ちお嬢様「瀬在丸紅子」、探偵「保呂草潤平」、女装趣味の医大生「小鳥遊練無」、ボーイッシュな女子大生「香具山紫子」らアパート「阿漕荘」の住人を中心とする4人が数奇な運命により様々な事件に遭遇する!

シリーズ最終作ということで、いつもの4人の運命が濃密に交差した期間の最後が描かれている。別れがある一方で新たな出会いもあり、前シリーズ(S&M)と新シリーズの両方とも繋がるVシリーズのクライマックス!




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ネタバレ考察(開閉式)

※ネタバレ注意(ここをクリックして開閉)※

実行犯は「室生真弓」だが…

解決パートで4人(意識不明の帆山美澪〈影〉を含めると5人)を殺害したシリアルキラーの正体は「室生真弓(むろう まゆみ)」であるという"どんでん返し"が用意されているが、更なる"どんでん返し"がエピローグで待っている。

室生真弓は一般的な水準からすると優れた知性をもつ殺人欲求持ちのサイコパスだったが、約2年前に少女(真賀田四季)と出会うことで、一連の連続殺人を決意・実行したと思われる。

四人目の被害者が殺された際の遠隔操作(海外から)で射殺するトリックはどうかと思ったが、その他は偽帆山と室生の共犯ならば可能だったという点で面白いトリックだった。

黒幕は「真賀田四季」?

エピローグで示される「赤・緑・黒・白」が四季を表しているという話から、「栗田其志雄(くりた きしお)」と名乗った少女(!?)は、まず間違いなく「真賀田四季(まがた しき)」と見てよさそう。

裏で糸を引いている"黒幕"と言うべきなのか分からないが、MN1総志「佐織宗尊(さおり むねたか)」が出会った少女も「真賀田四季」だろうし、瀬在丸紅子と真賀田四季の出会いがS&Mシリーズの前日譚とも言えるVシリーズの肝になっているように思えた。

幼少期の段階で真賀田四季が紅子に興味をもって創平や萌絵への関心が高まったとすると西之園夫妻の飛行機墜落事故にも、真賀田四季が関わってる可能性もあるのかも?

真賀田四季の意図はよく分からないが、天才過ぎるが故に結果的には犯罪を引き起こさせてしまうのかなあ。

「林」は名?

林が持ってきた祝儀袋の名前の「~川 林」という書き方は、単純に「犀川 林(さいかわ はやし)」ということと思われる。シリーズ1作目「黒猫の三角」で紅子が「珍しい名前でしょ」的な事を言っていたのと、練無と紫子が「犀川」と「林」を両方とも名字だと誤解していることからも、渾名とかじゃなくて本当に「はやし」って名前なんだろうな~、騙された!

さらば保呂草

シリーズ8作目「捩れ屋敷の利鈍」で後年の保呂草が紅子とお茶してる場面が描かれるが、今回の一件をもってして怪盗「保呂草潤平」は阿漕荘を離れることになり、無言亭・阿漕荘を中心とした紅子・保呂草・練無・紫子の4人組の物語は一旦幕を閉じることに。

この段階で気になるのは、練無と紫子のその後。冒頭で練無と紫子の未来(縁・恋?)について保呂草が思わせぶりなことを言うのが気になる!練無は順当に進めばお医者さんに、紫子は警察官や探偵を志望している節もあったがどうなんだろう。


感想:★★★★☆

Vシリーズの最終作ということで気合を入れて読みましたが、解決パート前に一応は犯人を当てることができたので満足!ストーリー的には鮮烈な展開での最後という印象ではありませんでしたが、シリーズ作品ならではの"お楽しみ"が待っていて楽しめる内容でした。

紅子・保呂草・練無・紫子の4人での掛け合いが大好きなので、続編のシリーズなどで機会があるのか知りませんが、再登場に期待したいところです( ^ω^)ワクワク




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